●自分の側の道路のほうが交差する道路よりも広く見える
前方に見通しのよい交差点がある場合、自分の走っている道路のほうが交差する道路よりも広く見えます。そのため自分のほうが優先だと判断して、交差する道路から車が接近しているにもかかわらず、強引に交差点を通過しようとする車もあります。しかし、車のなかから見ると自分の側の道路のほうが広く見えても、実際には交差する道路のほうが広かったり、あるいはほぼ同じくらいの道幅であったとすることが多いので、注意が必要です。
相手も「自分のほうが広い」と考えている、また、交差する側の道路を走るドライバーも「自分の道路のほうが広い」と 判断していることに留意する必要があります。つまり、自分だけでなく、相手も「自分が優先だ」と思って交差点に進入してくるということです。したがって、相手が止まるだろうと考えるのは非常に危険です。交差する道路から車が近づいているときは、常に「相手は止まらないかもしれない」と考えて、スピードを落とし、相手の車の動きに注意しながら、徐行や一時停止を心がけることが大切です。
ここでは排気量125ccを超えるバイクを対象として説明をしています。
原付免許で乗れる総排気量50ccまでのバイクでは高速道路や自動車専用道路の走行はできません。
●追い越す車を見ながら追い越すと、その車が近寄ってくるように見える
追越しをするとき、追い越す車を見ていると、まるでその車が自分のほうに近寄ってくるように見えることがあります。そのため、あわててハンドルを右に切ってしまい、対向車線へはみ出したり、中央分離帯へ衝突することがあります。とくに大型車を追い越すときに、そのタイヤを見ていると、タイヤが近寄ってくるように錯覚することがよくありますから、追い越すときは前方をしっかり見て安全に追い越すのがポイントです。
●トレーラの追越しは要注意
トラックの車長は最大でも12mですが、トレーラの場合は、通常15~18mくらいの車長になります。したがって、トラックのつもりでトレーラを追い越すと、なかなか追い越せずに対向車と衝突するという危険があります。右図のトレーラを示す▲の標示によく注意し、トレーラとトラックを見誤らないようにしましょう。
●二輪車は小さいので実際よりも遠くに見える
二輪車は四輪ドライバーの目から、どのように見られているだろうか。
●二輪車は自転車と同じように、簡単に停車できるものと思われがちです。
●二輪車は、近くにいても遠くに居るように見られたり、実際のスピードより遅く感じられたりしています。
四輪ドライバーはこれらの錯覚から、交差点において二輪車がかなり接近しているにもかかわらず、まだ距離があると思い急に右折することがあります。その結果、二輪車と衝突するという、いわゆる「右直事故」がおきやすいので、二輪車は十分に注意しましょう。
カーブミラーも錯覚を招く
またカーブミラーに映ったバイクも、実際より遠くに見えることがありますから、カーブミラーだけに頼らず、自分の目で確認することが大切です。
●大型車が左折するとき、いったん右側へふくらむことがある
大型トラックやトレーラなどの大型車は、内輪差が大きいため、狭い道路へ左折するときは、いったん右側へふくらま ないと曲がり切れないことがあります。そのため後続車から見ると、まるで先行の大型車が右折していくかのように見えてしまうので、大型車の左側を抜けていこうとして、左折してきた大型車と衝突するというケースがあります。したがって、大型車が左折のウインカーを出しながら、実際には右側にハンドルを切った場合には、それはウインカーの出し間違いではなく、左折するために右側へふくらんだと考えて、大型車の動きに十分注意し、徐行や一時停止をして大型車を先に左折させるようにしましょう。
大型車の右折
大型車が狭い道路へ右折する場合は、逆に左側へふくらむことがあります。それを左折と錯覚すると事故につながりますから、大型車のウインカーや動きに十分注意しましょう。
●急な勾配の下り坂から穏やかな勾配の下り坂に変わると、上り坂のように見える
下り坂
長い連続した下り坂を走行するとき、勾配の急な下り坂から緩やかな下り坂に変わると、そこがまるで上り坂であるかのように見えることがあります。そのため実際には下り坂にもかかわらず、アクセルをあけてスピードを出し過ぎてしまい、前車に追突したり、カーブになっている下り坂ではカーブを曲がり切れずに路外へ飛び出すといった事故を起こすケースがあります。
上り坂
上り坂では逆のことが起こります。勾配の急な上り坂から緩やかな上り坂に変わると、そこが下り坂のように見え、ブレーキをかけてしまうのです。そのためスピードが急に落ちて後続車に追突されることがあります。
長い下り坂や上り坂を走行するときは、勾配に注意するとともに、ときどきスピードメーターを見て、スピードの出し過ぎや急な低下をチェックすることが必要です。
●右カーブの道路では、対向車線のほうが広く見える
カーブでは、よく正面衝突事故が起こりますが、こうした場合、右カーブを走行する車が対向車線へはみ出して衝突するというケースが多いようです。その理由としては、右の2つの図を見るとわかるように、右カーブでは対向車線のほうが広く見え、左カーブでは自分の車線のほうが広く見えるということが考えられます。つまり、左カーブでは自分の車線を守って走行する車が多いのに対し、右カーブではついつい広く見える対向車線側へはみ出しやすいというわけです。
センターラインのない右カーブは要注意
センターラインがあれば、それを守って走行すれば対向車線へはみ出すということはありませんが、センターラインのない右カーブでは、自分では左側を走っているつもりでも、実際には対向車線側へはみ出してしまっていることも十分考えられますから、意識して左側を走るようにすることが大切です。
●大型車のテールランプだけを見ていると、実際よりも遠くに見える
大型車はテールランプの位置が高いため、それだけを見ていると乗用車と同じ位置にいても、大型車のほうがかなり遠くにいるように見えます。ある実験結果でも、テールランプが乗用車より40cm高いトラックの場合、100m後方からみると、トラックと乗用車が同じ距離に見えるのは、トラックが乗用車よりも50m手前にいるときだという結果が出ています。そのため、前方に大型車が駐車しているとき、そのテールランプを見てまだ距離があると錯覚して減速せずに接近すると、気づいたときには距離がなく追突してしまうということにもなりますから、十分注意しましょう。
夜間の高速道路では、バス停の車線に注意
ここでは排気量125ccを超えるバイクを対象として説明をしています。
原付免許で乗れる総排気量50ccまでのバイクでは高速道路や自動車専用道路の走行はできません。
夜間の高速道路で、左側のレーンマークを頼りに走行していると、バス停の入口地点にさしかかったとき、そのまま白い実線に誘導されてバス停に進入し、そこに駐車しているトラックなどに追突するという事故が起こります。とくにライダーの意識がボンヤリとした状態のときに、バス停への車線を本線車道と錯覚することが多いので要注意です。