道路交通法が改正されH17年4月1日から高速道路の二人乗りが解禁されました。今までは「ちょっと遠いなぁ」と二の足を踏ん でいた所へも高速道路を使えばひとっ飛び。でもソロとタンデムでは操縦感が変わります。4輪で言えばタクシーやバスなどの「二種免許」クラスの、乗客を乗 せて走るに足る技術と心遣いが必要なのです。二人で行けて楽しかったね、と思えるように、平忠彦さんがマストテクニックをお教えします。
※一般道路では自動二輪免許を受けていた期間が1年以上、高速道路においては同じく3年以上で20歳以上の人が二人乗りできます。
平忠彦
(たいら・ただひこ)
1956年福島県生まれ。
全日本500ccクラス総合優勝。世界GP250ccクラスや鈴鹿8時間耐久レースでの優勝など、数々の輝かしい戦歴を 残す日本を代表する名ライダー。現在はオートバイショップを経営するかたわら、YSPレーシングチームチームマネージャーとして活躍。その他、ライディング・スクールでの指導や、公演、雑誌への執筆など多方面にて活動展開中。
第1回
タンデムはとにかくコミュニケーション
オートバイの楽しみはツーリング。気のあった仲間と峠を越えて、はたまた傷心をいやそうと岬を目指す・・・。どんな場合もライダーはすなわちドライバーだけど、タンデムにはパッセンジャーという新しい仲間が参加する。楽しいツーリングのための必読4か条の第1回は、タンデム・シートにはじめて乗るあの人に知っておいて欲しいことや、ツーリング中の会話のしかたについて。
乗車・降車の「危険な1分間(クリティカル・ワン)」
- 自分ひとりならなんでもない乗り降りも、パッセンジャーがいればまったくの別世界。走行中より乗り降りの1分間が危険と心得てください。
- 必ず先にライダーが乗っていること。パッセンジャーが乗り降りする時はライダーが地面を両足で踏んばるか、「右足をステップに、左足を地面に」が推奨ポーズ。パッセンジャーの体重移動にそなえるためです。
- ブレーキを握るか、リアブレーキを踏む。少なくともどちらかのブレーキが必要です。
- ハンドルをしっかり握り、安定した姿勢でパッセンジャーに乗るよう合図します。気の合う仲でも必ず「乗って」「乗ります」、「降りて」「降ります」と声を掛け合うことが転倒防止の秘訣。
- [ライダーが乗る→サイドスタンドを立てる→左手をライダーの肩にかけ、左足をステップに→またがる]が一般的。
- ライダーが気持ちの用意ができてないと、パッセンジャーが乗ろうとステップに体重をかけるだけでグラッときます。
- 目的地に着くとパッセンジャーは「やれやれ」と自分から降りようとしがち。このときライダーが体勢を整えていないと転倒の危険があるし、隣の車にぶつかるなど大事にもなりかねないので注意をしてください。とにかくライダーの指示によって降りることが大切。
コミュニケーションシグナルは膝と肩で
ニーグリップ
ライダーの腰のあたりを膝で挟みつけることをニーグリップと言います。ニーグリップでしっかりホールドすることにより前後のぐらつきを軽減し、ライダーとパッセンジャーが一体となった安定した走行ができます。
- 「ニーグリップをもう少しきつく」とか「もう少し前に座って」などという指示を伝えるために、まず膝をたたいて合図をしましょう。
- 走行中でもパッセンジャーのホールドが弱いと体感したら、膝をたたくなどして注意すること。コーナーに入る時も、注意を促すとよいでしょう。
- 走行中にパッセンジャーから「休みたい」とか「おなかがすいた」などライダーに言葉をかけたいときは、肩をたたいて合図します。
- 停まる前にもパッセンジャーが身構えられるように、膝の合図や声掛けを。ライダーの指示に従って降りますが、ほかの車が来ない左側に降りるのが原則です。
- 降りる際にはマフラーと足の接触に注意。じかに触れるとやけどします。
- 降りるときのほうが高温になっていることを、つい忘れがち。革製ブーツならまだしも、ナイロン素材のものは溶けてしまいます。
- パッセンジャーは簡単にでも、バイクの構造を知っておくといいですね。
インカムはほんとに便利
インカムセット。必需品といってもいいくらい。白いボックスがMP3プレイヤー。
- マイクを使ってライダーとパッセンジャーが会話できるのがインカム。MP3プレイヤーが付属しているものなら、音楽を聴きながらのドライブを楽しめ、同時に会話ができます。
- 風圧の強い高速道路での使用も問題なく、風切り音も気になりません。
- ソロでの使用時に携帯電話自動着信機能を持つものもあります。
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