少年A、17歳。ある小雨の降る夕方、バイクを飛ばしていた。人通りの少ない街路で、カーブを曲がった瞬間スリップ。彼はバイクからふり落とされ、無人になったバイクだけが、道路の反対側まですっ飛んでいった。幸い彼自身は、右脚骨折だけですんだが、運の悪いことに、バイクが道路わきを歩いていた会社員Bさんに激突。Bさんは頭の骨を砕かれて即死した。
それからAの両親の苦労が始まった。裁判の結果、Bさんの遺族に対する損害賠償額は3,000万円を超してしまった。Aは、任意の自動車保険に入っておらず、自賠責保険も期限切れになっていた。Aの入院費とBさん一家への補償をかかえ、両親は、「なんとか月賦ででも」とお願いをくり返すばかりだという。
バイクだから大した事故にはならない、とタカをくくっていると、とんでもないことになるブー。事故というものは、どんなはずみで起きるか、だれにも予測はできないブー。軽いスリップで、多少のすり傷ですむような事故ならまだしも、歩行者にケガをさせたり、死亡させたりでもしたら、どうするブー。
車の保険には、法律によって加入が義務づけられている自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)と、任意に加入する自動車保険もあります。
自賠責保険だけでは、補償の範囲、保険金に支払い限度があるなどの点で十分とはいえません。任意の自動車保険は、自賠責保険支払いの限度額を超える対人賠償事故や自賠責保険では支払われない対物賠償事故、さらに自分の自動車・バイクの損害や、自分自身のケガなどの危険に備えるためのものです。
●自賠責保険の補償(支払い限度額)
1. 死亡の場合
- イ 死亡による損害(逸失利益=生きていれば得られたはずの収入、葬儀費、慰謝料を合計したもの)に対して…被害者1名につき最高3,000万円まで。
- ロ 死亡するまでの傷害に対して…被害者1名につき最高120万円まで。
2. 傷害の場合
- イ 傷害による損害(救助捜索費、治療関係費、慰謝料と治療期間中の休業損害の合計)に対して…被害者 1 名につき最高120万円まで。
☆慰謝料……1日につき4,200円。☆休業損害……1日につき5,700円
ただし、それ以上の休業損害が証明し得る場合は、1日につき、19,000円を限度として実費補償。 - ロ 後遺障害による損害に対して傷害の程度に応じた等級(14等級あります)により被害者1名につき第14等級最高75万円まで~第1 級最高3,000万円まで支払われます。重い後遺障害で介護が必要な場合、最高 4,000 万円まで支払われることがあります。
●自賠責保険・保険料
(令和3年4月1日改定 沖縄・離島を除く)
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 5年 | ||
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原動機付自転車 | 125cc以下 | 7,070円 | 8,850円 | 10,590円 | 12,300円 | 13,980円 |
軽 自 動 車 (検査対象外車) |
二輪125cc超~ 250cc以下 |
7,540円 | 9,770円 | 11,960円 | 14,110円 | 16,220円 |
小 型 二 輪 車 | 250ccを超えるもの | 7,270円 | 9,270円 | 11,230円 |
●自賠責保険の加入は義務です
自動車(原動機付自転車も含む)は、自賠責保険の契約をしていないと運行してはなりません。もし自賠責保険に加入していなかったり保険の期間が過ぎている状態でバイクを運転した場合は、交通違反の点数6 点が課せられ、また罰金刑や懲役刑を課せられることもあります。自賠責保険には必ず加入して運転しましょう。