鍛え上げられたしなやかな身体で、スポーツバラエティ番組の常連となった水野裕子さんは、マジェスティとトリッカーという2台のバイクの持ち主。
友達の影響でバイクに乗るようになったという水野さん、持ち前の運動神経であっという間に免許を取得したのかと思いきや、意外にも「緊張しぃ」のためたいへん苦労されたのだとか。
忙しいタレント活動の合間を縫って乗るというバイク。水野さんならでは、女性ならではの楽しみ方についてお聞きしました。
── お生まれは愛知県ですが、小さいころ身近にバイクはありましたか。
原付に乗っていた人は大勢いましたが、かっこいいバイクに乗っていた人というのは記憶にないですね。私は生活するのに車が欠かせない田舎で育ったので、みんな車は持っていたけど、それに加えてバイクも持っている人となると、相当少なかったように思います。
── 水野さんがバイクに出会ったのはいつですか。
仲のいい女友達と三人で、高校二年生の夏休み初日に免許を取りに行って、その日の講習で生まれて初めてバイクに乗りました! 学校のルールには「乗らない、買わない、免許を取らない」とあったんですけど、それはあまり気にしなかったです(笑)。
── 原付免許を取ったあとは、すぐにスクーターを購入したのですか。
原付免許は親に内緒で取りに行ったので、バイクを買うことなんてできません(笑)。そこでいとこのお姉ちゃんや友達のバイクを借りて乗っていました。初めて乗ったバイクはホンダのライブDioZXで、色は黒。同じ時期にはヤマハのビーノにもよく乗ってました。
免許を取ったころはバスケットボールにハマっていたんです。友達と放課後に体育館を借りてよく練習してたんですけど、少し離れたところにある体育館へ行くときにバイクを使っていました。
中型まで取る友達は周りにはいませんでしたね。原付ばっかりでしたが、カブとかゴリラとかNS-1とか、みんないろいろなバイクに乗っていましたよ。
── 中型免許はお仕事でお忙しいなか取られたそうですが、そのきっかけは?
地元の女友達が一斉に、それまで乗ってた車を売って、そのお金でバイクを買い出したんですよ。電話するたびにバイクの魅力を語られて、地元に帰って本物を自慢されたら、そのバイク熱がまんまと移っちゃいました(笑)。帰ってきてカタログや本をたくさん集めてあれこれ吟味して、そこから免許を取りに行く段取りまでは、あっという間でしたね。
── お友達の乗っているバイクのなかでは、どのバイクに惹かれましたか。
バイクに乗り始めた友人たちのなかでも、私に一番影響力のある子がハーレーにすごくのめり込んでいて、車種とか、歴代のエンジンとか、フレームの形とか、毎日毎日電話してくるんです。バイクにはあまり興味を持っていないころから、「ハーレーはバイクの中でも特別」と思っていたので、乗ってみたい気持ちはありました。だから中型免許じゃなくて、大型免許をいきなり取る予定だったんですよ、最初は。いろいろあって、結局それは挫折しましたけど。
── 中型免許取得はスムーズに行きましたか。
行かなかったです! 教習を受けるのは初めてだし、当時は週の半分以上仕事をしてたので、とにかく時間がなかったです。それでも朝イチで学科を3時間受けたあとそのままロケ地へ、なんてことを必死にやっていました。それと私、結構緊張しやすいんです。だから卒検では焦りまくって…、三回落ちちゃいました。
マジェスティ C リミテッドエディション
── 晴れて中型免許を取ったとき、購入するバイクはすでに決まっていましたか。
「大型免許を取ってハーレーに乗る」という気持ちが強かったので、中型免許で乗れるバイクにはあまり興味がなかったんです。でもせっかく免許を取ったからには、やっぱり乗りたい。そこで乗りたいバイクじゃなくて、自分に合っているバイクは何だろうって考えてみたんです。
ふだんバイクに乗るとすれば、都内でちょっと移動するときか、お買い物に行くときとか。たまたまその時期舞台をやっていたので、「お稽古に行くときは荷物も多いな」とか考えていたら、ビッグスクーターが頭に浮かんだんですね。私はそれまでビッグスクーターを、「免許を取ってまで乗るもんじゃない」と思ってました。でも、乗りやすくて、荷物もたくさん入るし、メンテナンスも簡単で、これだけ条件がピッタリ合うバイクってそうはないんですよ。そこで早速カタログを開いたら、「マジェスティ C リミテッドエディション」(赤)を見つけてしまったんです! 私、赤が大好きなんですよ。そこでまず感動しました。さらにスペックを見たら、「メーターも赤い」「サスペンションも赤い」ってドンドンのめり込んで、「このバイクは自分のためにある!」って思っていたら、即注文してましたね(笑)。
── マネージャーさんによく許してもらえましたね。
実は中免は…黙って取りました(笑)。「教習所通ってますよ」と話をしていたんですが、まさか中免だとは思ってなかったみたいで。免許を取ったときは「えっ、中免取ったの!?」という感じでしたね。でも当時のマネージャーさんもバイクに乗っていたので理解はあって、バイクを買うときはいろいろと相談に乗ってくれました。
── 中型免許を取ってマジェスティを買った水野さんに、ハーレーを勧めたお友達は何か言われましたか。
「あれ? 大型じゃないんだ…」って(笑)。
── 都心を走られて危ない目に遭遇したことはありますか。
四輪ドライバーの遠慮のなさには、少なからず怖い思いをしてます。
教習所ではキープレフトで走るように習いますよね。でも実際にキープレフトで走っていると、横から車がドンドン入ってくるんですよ。だから余計に怖いんです。そこで私は一台の「車」として認識してもらえるように、左に寄らずに道路の真ん中を走るようにしています。信号で止まったとき前後に車がいて、その間に自分がいるという状態ですね。
それと中型を取った後に車の免許も取ったんですが、実際に車を運転してみて初めて四輪ドライバーの気持ちがわかりました。左に寄って道路を走っているバイクがいたら、やっぱり右側のスペースに入りたくなるんです。だから私がバイクに乗るときは、いい意味で「主張する運転」をしようと心がけています。
トリッカー
── 水野さんはもう一台「トリッカー」というバイクをお持ちになっています。とても個性的なこのバイクを選んだ経緯について、ぜひお聞かせください。
マジェスティを買ったあと、念願の大型免許も取ったのに、いわゆる「バイク」に乗れていないと感じてたんです。クラッチを握って、ギアを変えるバイクに乗りたいという欲求が、私の中にずっとあった。でも駐輪場の都合や経済的な事情で大型はまだ持てないです。そんなときに取材でトリッカーに出会ったんです。
マジェスティのときもそうだったんですが、私、オフロードタイプのバイクにもかなり偏見があったんです(笑)。形が好きじゃない、車高の高いバイクが多いので足付きが悪い、自分の技量のなさでエンストする可能性もある、ということで相当に印象が悪くて。
でもトリッカーは見た目から違ってました。オフロードなのに「カワイイ!」っていう印象なんですよ。私、ポップでオモチャっぽいルックスものに惹かれる性格なので、まずはその見た目がとても気に入りました。それ以外にも、柔らかいサスペンションの楽しさや粘るエンジンの安定感、小さい車体ならではの足付きの良さと、いろいろひっくるめてトリッカーはベストなバイクだったんです。
雑誌の取材のあとも「いいバイクだなー、楽しいバイクだなー」と余韻に浸っていたら、その後も取材で何度も乗る機会があって、「これはもう運命だな…」と感じてしまって(笑)。
── 2台のバイクはどうやって使い分けているんですか。
荷物が多くて移動がメインのときはマジェスティです。「バイクに乗りたい」と思ったらトリッカーに乗りますね。
── バイクは水野さんの生活にどんな変化をもたらしましたか。
上京して仕事をするようになった当時はまだ友達も少ないし、土地勘もなかったので、休日に外出することが少なかったんですが、バイクに乗るようになってからは、進んで外に出るようになりました。おかげですごい勢いで道を覚えて、土地勘もついて、東京の街を楽しめるようになったのは大きな変化ですね。
私、街乗りしていて信号待ちしてるときに、周囲をよく観察するんです。そうすると普段気づかなかったことが、いろいろと見えてくるんです。「あんなお店ができたんだ」とか、「あの人かわいいワンちゃん連れてるな」とか、「あ、芸能人がいる!」とか(笑)。街中を歩いているときは人の顔ってあまり見ませんよね? だからバイクに乗っているときのほうが、芸能人の方を見つけることが多いんですよ。
── バイクに乗っている方を観察したりもしますか。
もちろんあります。最近はバイクに乗ってる女の子も多いので、よくファッションを参考にしています。
愛犬ジャックと
── バイクに乗るとき、女性ならではのこだわりはありますか。
都内を走ると排気ガスで顔が汚れるんですよ。ちょっと大げさですけど、おしぼりで顔を拭いたら真っ黒になるくらい汚れちゃう。もともと鼻もあまりよくないし、肌も強くないので、バイクに乗るときはマスクをするようにしています。
そのときのマスクは台湾のセブンイレブンで買ったものなんですけど、これが日本のマスクの1.5倍はある大きさなんですよ。バイク大国の台湾ですから、排気ガス問題も深刻なんじゃないですか。だから向こうでバイクに乗ってる人も結構この巨大マスクを使ってました。単純に排気ガスを防ぐだけでなくて、冬走るときも暖かくて重宝してますよ。
それと、女性ならではのこだわりではないんですが、ジャック(愛犬)とはよく一緒にバイクで出かけます。近所にジャックが遊べる公園がないので、ドッグランのあるところとか、お台場なんかに連れて行きます。そのときはジャックをペット用のキャリーバッグに入れて、それを背負ってバイクに乗るんです。よく車の窓からワンちゃんが顔を出しているのは見かけますよね。でも「バイクに乗った人の背中のカバンからワンちゃんが顔を出す」っていうのはやっぱり珍しいらしくて、ものすごく見られます(笑)。特にジャックは風を切るのが好きで、背負っている間ずっと顔を出していたりするので、信号待ちなんかで止まると、左右の車から何枚も写真を取られたりします。
── バイク業界やバイクメーカーに対して注文はありますか。
どうして最近のバイクはキックが付いてないんですか? セルスタートだけになってますよね。
── セルでなければ買わないという方は大勢いるんですが、キックがないと困るという人はほとんどいない、というのが理由ではないでしょうか。一部のバイクには、「キックをなくさないでほしい」という要望もありますが、基本的に必要とされていない、あっても使わない、ということが実態だと思います。
冬に長期ロケがあって、長い間バイクに乗らないと、いざ乗ろうとしたときにバッテリーが上がってることが結構あるんです。うまく押しがけができればいいんですけど…。
── バイクのデザインに関しての注文はありませんか。最近は輸入されたバイクも売れていて、「国産車のデザインは個性がない」などと言う声もあるようですが。
国産車と比べると、外国車はルックスが無骨なところとかが支持されているのかなとは思いますけど、それってそのままバイクの性格にも出てくると思うんです。国産車に比べると、外国車はトラブルが多い傾向にありますよね。国産車はきれいな完成品で、外国車ほど個性はないかもしれませんが、その分性能が保障されている。だから、そこを変えてほしくはありません。バイクに乗ってツーリングするんだったら、トラブルのないほうが絶対楽ですからね。バイクそのもだけでなく、乗っている自分とか、乗っている環境とか、乗っている生活も含めて、個性は出せると思います。
── バイクに乗っていて、また所有していて困ったことは何かありますか。
都内だとどうしてもマンション住まいになりますが、そのマンションにバイク用の駐車場が全然ないんですよ。私が住んでいるところも、管理会社の方に相談して、駐輪場の自転車用ラックを外してもらって場所を作ってもらいました。自転車の駐輪場、車の駐車場はしっかりあっても、バイク駐車場はマンション全体で3台とかですからね。置く場所があれば、所有者ももっと増えると思うんですけど。
── ツーリングで行ってみたい場所はありますか。
どちらかというと海より山派なので、以前から清里(山梨県)に行きたいと言っていたんですけど、それは雑誌の企画でかなえてもらったので、次は水上(群馬県)の方に行ってみたいですね。緑がきれいで水がきれいなところが大好きなので。
── これからのバイクライフに何か目標はありますか。
今は近所を移動するのにちょっと乗っているだけので、そうじゃなくて「バイクに乗ってるぞ!」っていう部分をもっと楽しみたいです。どちらかというとゆったり走るタイプなので、長距離を乗っても疲れないような大きなバイクで、ETCもつけて、水上とか箱根とか、山の方に出かけて温泉に入って帰ってくるとか、やりたいです。
── ずばり、バイクの魅力ってなんですか。
「征服欲」というとなんか変な意味に聞こえますけど、自分が動かさないと動かないものだし、その分すごく一体感がある。何をどうやっても外界と常に触れてなきゃいけない状況で、基本的に自分一人の世界を作り出すというか、そういう空間を与えてくれる乗り物って、他にはない。そこが魅力です。
(2007年9月25日(火) 於:東京神宮前・SMAエンタテインメント)
タレント
生年月日 : 1982年3月8日
出身地 : 愛知県
血液型 : O型
身長 : 160cm
サイズ : B84・W59・H82・F23.5cm
趣味 : 釣り・スノーボード
特技 : バスケットボール・寿司の握り
資格 : 大型自動二輪・小型船舶2級・普通自動車一種
愛犬 : Jack(ジャック)トイプードル♂
1998年、SONYアルカリ乾電池「FACE ON!」オーディション合格。合格者で構成したユニット「smAsh」にも参加し芸能活動を開始。1999年より「アッコにおまかせ!」(TBS系列)リポーター、2000年より「王様のブランチ」(TBS系列)リポーターを経て、知名度を大きく広げる。2000年以降、「筋肉番付」(TBS系列)などのスポーツバラエティ番組で女性タレントとして抜きん出た身体能力の高さを発揮し、“芸能界No.1女子アスリート”の異名を取る。2003~2004年には、人気の舞台「マッスルミュージカル」にも精力的に参加した。現在は「世界バリバリ☆バリュー」(TBS系列)や「ザ・フィッシング」(TX系列)など、様々なジャンルの番組でアシスタントやリポーターを勤めている。
1 現在の愛車は? | マジェスティ C リミテッドエディション:レッド、トリッカー。 |
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2 最初に乗ったバイクは? | ライブDio ZXです。 |
3 今後乗ってみたいバイクは? | 国産で一番大きな排気量のバイク。理由は最上級の安心感を与えてくれそうだからです。 |
4 愛用の小物は? | 犬用のキャリーバッグです。 |
5 バイクに乗って行きたいところは? | 夏の北海道をぐるっと回ってみたいです。 |
6 あなたにとってバイクとは? | 友達です。 |
7 安全のための心得はありますか? | バイクを特別だと思わないこと。 |
8 バイクに関する困り事は? | 日焼けです。手の甲とかグローブしてても焼けるんですよ。夏用のグローブなんて、メッシュが入っているとメッシュ形に焼けちゃう。だから信号待ちのときは手を裏返して、できるだけ顔は伏せてます。 |
9 憧れのライダーは? | 国井律子さん。 |
10 バイクの神様に会ったら何と言う? | 「世界中のバイク乗りが事故に遭わないようにしてください」です。だって、事故がなくなったらみんながバイクに乗るでしょう? |
タイラレーシング(株)代表/元GPライダー
オートバイは異空間。そして地球上で一番自由な乗り物です。
ホンダ・レーシング ライダー
モーターサイクルスポーツを、この国にしっかり根づかせたい。
カワサキ モトGPファクトリーライダー
たくさんの人に支えられて、プレッシャーの中で走る快感
MFJ全日本レディスモトクロス選手権
チャンピオン
出来ないことが、出来るようになる。その時がいちばん嬉しい
能楽囃子大倉流大鼓
重要無形文化財総合認定保持者
オートバイは失われた日本の精神文化を取り戻すツール
噺家
バイクで走れば噺の舞台が見えてくる
作家
バイクがなかったら僕が僕じゃなくなっているかもしれない
女流棋士
将棋の駒ならバイクは香車。バックギヤはありません
アライヘルメット社長
バイクに乗れば自分の頭のCPUスピードが分かりますよ
モータースポーツカメラマン
レンズの向こうに見えるライダーの想いを伝えたい
バイクインストラクター
安全はお金を払って身につけるもの
雅楽演奏家
思い描いたバイクに仕上げる楽しみこそ、東儀流
タレント
「憧れ」から「等身大」に視点を変えて出会った、運命のバイク
俳優
バイクは五感を研ぎ澄ませるためのツール
俳優
自分をどこにでも連れて行く、バイクは「筋斗雲(きんとうん)」
株式会社ハドソン 宣伝部
ゲームは1日1時間、バイクは1日8時間!