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大野晴嗣さんvol.10 モータースポーツカメラマン 大野晴嗣さん レンズの向こうに見えるライダーの想いを伝えたい

砂漠を駆け抜ける一台のバイク。その映像を見たときから、ムービーカメラマンへの道を踏み出した大野さん。憧れのダカールラリーを始め、国内外のモータースポーツを精力的に撮影し続ける大野晴嗣さんに、カメラマンの視点から見るバイクやラリーの魅力、ご自身のバイクライフ、そして日本と世界のバイク事情の違いなどをお聞きしました。

“砂漠を走るバイク”に憧れて

── モータースポーツ専門のカメラマンを目指したきっかけは?

大学生の時に見たNHKのパリ・ダカールラリーという番組の中に、広大な砂漠をたった一台のバイクが走って行く映像があって、「こんな場所に行って撮影したいなぁ」と考えたのがきっかけです。
当時からバイクに乗っていたし、モータースポーツも大好きでしたから、大学で学んだ映像技術を生かすのならモータースポーツの世界と考えていました。卒業して映像制作会社に入社してからは、ずっと世界各地のモータースポーツを撮影し続けています。

バイクとライダーが生み出すアート

── 被写体として見たバイクの魅力は?

WRC(世界ラリー選手権)モンテカルロラリー表彰台での1枚。F1とならぶ、世界最高峰のモータースポーツです。

置いてあるバイクはただの機械ですが、これにライダーがまたがってコーナーを駆け抜けると、人とバイクが一体となった美しい姿が現れるんです。見る角度とかそういうものじゃなく、ライダーの意思によってその姿は美しくなったり、たくましくなったりもする。乗っている人の気持ち、喜怒哀楽みたいなものが現れるところが魅力なんですよ。だから「このライダーは今、何を考えて走っているんだろう?」って想像をかき立てられるような映像を撮影できたときはすごくうれしい。

── バイクの持つ機械的な美しさだけではないんですね。

ただ戦うためだけに作られる戦車や戦闘機のように、目的が絞られた機械ってかっこいい。とにかく速く走るために作られるレーシングマシンも同じで、目的に特化した機械っていうのは贅肉が削ぎ落とされ、一つ一つの部品が意味を持つ。光線の変化によって部品が美しく見えるし、夕日に機体が映えることもある。でもそれは物としての美しさでしかない。
バイクも、マシンのフォルムやパーツは美しいですよね。でもそこにライダーが入った世界、感情の入ったライディングが加わることで、より美しく情感溢れるものになっていきます。だからこそ何よりもそれを撮りたいし、表現したいと思っているんです。
僕の撮影した映像を見て、一人でも多くバイクに興味を持ってもらえれば、カメラマン冥利に尽きますね。

選手よりも厳しい行程

── 「世界一過酷なレース」と言われるダカールラリーでの撮影はどうでしたか?

コマ地図の説明に熱が入る。

自分たちで車を仕立てて、ナビゲーター兼カメラマンである僕とドライバーの二人でコースを研究し、撮影ポイントへ行って、撮影をして、またキャンプに戻る。ダカールラリーの撮影って自分たちもレースするのと同じなんです。しかもレースをしている選手たちより断然条件が悪い。誰よりも早く出て、誰よりも遅く帰ってくるでしょ。だから寝る時間がない。もちろん車が壊れたら自分たちで修理だってしますよ。またコースの大半を占めるアフリカの国々には政情が不安定なところもあって、地雷が埋まっているような場所もある。コースとして設定されたところを走っていれば、ほぼ大丈夫ですけど、我々カメラマンたちは撮影のために大きく迂回することもありますから、危険なんですよ。

── 地図を見て進むんですよね?

ルートマップは事前にもらえるんですが、試走できないからあまり意味はありませんね。事前にベテランカメラマンや選手にリサーチをしてベストと思われる撮影ポイントを決めて、選手がそこを通る2時間くらい前にポジションについたら、あとはひたすら待つだけです。夜が明け始めても物音一つ聞こえなくて、「ほんとに来るのか?」って不安になるけど、たいていはちゃんと来ます。

── ダカールラリーを走るライダーの魅力は?

たとえば、プライベートライダーは最後の方になるとみんな疲れきってコケちゃったりするんですけど、それはそれでかっこいいんです。そこにはやっぱり「前へ進もう」っていう気持ちが入っているから。
コーナーを駆け抜けるライダーの美しさとはちょっと違って、こっちは「とにかく走りたいんだ!」っていう意志だけの、ベタな人間ドラマなんですよね。そういう美しさはマラソンに近いのかな。厳しい顔をして淡々とコースを走るマラソン選手の姿って、苦しそうだけどかっこいいでしょ。己とバイクの力だけで一生懸命自然と戦ってる姿はたまらなく魅力的ですね。

── ダカールラリーを撮影中の食事は?

ラリー開催中は、選手やメカニックたちに食糧と生活必需品を供給する巨大なテント村が一緒に移動するんですよ。関係者含めて1000人近い人間がそこのケータリングでご飯を食べます。主催者が用意するメニューは毎日変わり映えしないんで飽きますが、唯一ありがたいと思うのは、赤ワインと白ワインとビールが常に用意されているところ。主催国であるフランスらしいですよね。あと昼食用に渡されるランチパックが、とにかく甘いだけのゼリーなんですよ。砂漠の仕事だから糖分を摂取しろ、ということらしいんだけど毎日はキツイですよ。最後には慣れますけど(笑)。

やっと手にした原付免許、でも買ったのは・・・

── バイクとの出会いはどうやって?

6時間耐久エンデューロレースに出場したときの一コマ。レースというより、泥んこ遊び感覚です。

今から30年くらい前って、自転車で遠くへ旅するのがブームだったんですよ。僕もその例に漏れずいろいろな所へ旅をしていました。一生懸命坂道を登っていると、後から来たバイクが楽々と追い抜いていくんです。ピースサインをして (笑) 。僕が長い時間をかけて頑張っているのに、それこそたった何秒って時間で登りきってしまう。そういう経験があったので、バイクには強い憧れがありました。ただその頃はまだバイク雑誌を読んでいないので、単純に目の前を通り過ぎるバイクを見て、「こがなくて進むのはいいなぁー」って思ってました。つまり自分を遠くへ運んでくれる道具としては「自転車よりもバイクの方がいいのでは?」というところから入ったんです。

── 免許を取ったのは何歳?

高校生の時は3ナイ運動の真っ只中だったので免許が取れなくて、フラストレーションが溜まりました。下敷きに入れたカタログを授業中に見たりして、ずっと憧れていましたが、高校を卒業して、すぐに原付免許を取りました。でも原付免許を取って最初に買ったバイクが、なぜかヤマハのRZ125。原付じゃなくて、小型なんですよ(笑)。もちろんお店には原付を買うつもりで行ったんですが、「原付だと物足りなくなるな…」→「やっぱり大きなバイクに乗りたい」→「30km/hしか出せないのは嫌だ!」となって、その場でそのバイクを選んでしまった。勢いで買ったのはいいんですけど、まだ免許がないじゃないですか。だから納車されたバイクは、家まで2kmを延々と押して帰りました(笑)。

── ツーリングで人にお薦めしたい場所は?

磐梯山のワインディングは凄く気持ちがいいですよ。直線だけでは飽きちゃうし、狭くて曲がりくねった道ばかりだとストレスが溜まるので、ワイドに抜けた道と気持ちのいいコーナーが適度にある場所がいいですね。気持ちのいい場所を走るっていうのが、僕のストレス発散法ですから。別に速さを競うわけではないので、のんびり流しながらきれいな景色を楽しみたいですね。

撮りたい画をイメージし、計画する

ニュルブルックリンクサーキットで、バイクの走行シーンを撮る。望遠レンズを使ってコース脇から被写体をじっと狙う姿は、狙撃手に良く似ている。

今年9月に行った南仏でのヘリコプターでの撮影。高度な防振機械を利用することもあるが、たいていは手持ちでカメラを支えて、ヘリコプターのドアを外して撮影する。

── うまく撮れないアマチュアカメラマンにアドバイスを。

何よりもまず熱意が必要ですが、アマチュアの方はみな熱意があるので、そこはクリアできるでしょう。
次に重要なのは「撮りたい画をイメージできるか」ってところですね。適当にシャッターを切ってもダメなんですよ。プロカメラマンは狙って撮ります。狙って撮るってことは、頭の中にイメージがあるんです。夕日に輝くテールカウルとライダーを撮るなら、まずは場所を探すところから始める。逆光ってことは太陽が前ですね。でも真ん前だと白っちゃけるから斜めから狙おうとか、コースが白く光輝く方がいいから何時までに行こうとか、あらかじめ全部を計算しておきます。そこまでやったら、あとは自分が決めた場所でひたすら待てばいいんです。

ただ映像の場合は、僕がコップを取ろうとしたときに撮影を始めても遅いんですよ。僕がコップを取ろうとする前から撮っていないと、その映像は使えない。だから撮りたいイメージを考えて、なおかつ予想しておくことが重要なんです。単純に撮るだけではカメラマンの意図も伝わらないし、力が欠ける映像になってしまいます。だからこそ計画することがとても大事なんです。

最初は真似だっていいんです。いい写真があって、こんな風に撮りたいとか、きっかけはそんなことでいい。そこから、たとえば撮りたいものがバイクだったら、バイクの何を撮りたいのか、バイクのどこを見てもらって、それをどう思ってもらいたいのか、そこまで考えられれば完璧ですね。あとは計画・予想・撮影という手順でトライ&エラーを繰り返していけば、いつか必ず自分の欲しい画が撮れると思います。

── カメラマンとしてこれまで一番大きな失敗は?

カメラを壊したことです。走ってきた車両がコースオーバーして、それがカメラにぶつかってしまった。紙一重で僕は無事でしたが、そのあとで「30cm横にいたらカメラも大丈夫だったな」とか考えたら、落ち込みましたね。やっぱり商売道具を壊すのが一番哀しいですから。モータースポーツの仕事なので、そういった失敗は自分の責任なんです。だから繰り返さないためにも経験を積まなければならないし、勉強しなければいけないなと思うんです。

バイクに理解のない社会

── バイクに乗っていて不便だなって感じることは?

CMやプロモーションの撮影時には、カメラカーと呼ばれる車両に乗って移動撮影をすることが多い。これは、サイドカーを改造した撮影専用のバイク。クルマと比べて小回りが利き、より、アグレッシブな撮影ができる。

駐車場です。これに尽きます。
今は2台しかないんですけど、一時期もっと多く持っていたときがあって。そうするともう停める場所がないんです。引っ越そうと思って物件を探しても、自転車とクルマの駐車場はあるのに、肝心のバイク用がない。最初からバイクの駐車場が用意されていれば、ちゃんとお金を払ってそこに置きますよ。でもマンションを設計する段階から、誰もバイクを置くスペースのことなんて考えてないんです。結局管理人に「置かせてもらえますか?」とお願いして駐車することになってしまう。人々の頭の中にバイクの駐車っていう観念がないんですよ。そのくせ「路上に停めてはいけない」って言うけど、路上に停められなかったらどこに停めたらいいんですか。路駐はしたくてしているわけじゃないんです。遠い場所にバイクを停めて、目的地には最寄り駅から電車で行く。そんなことなら最初からバイクに乗らない方がいいですよね。それって「バイクは社会に必要ない」って世間から言われてるような気がしませんか? これだけバイク人口が多いのに、いまだにみんなが同じような悩みを持っているのかって思ったら、悔しいですね。

── モータースポーツの取材で訪れる外国の駐車場事情はどうですか?

たとえばイタリアは、街の脇に必ずバイクと自転車を停める専用のエリアがあるんですよ。オーストラリアもニュージーランドもアメリカもそうですけど、路肩にバイク用コインパーキングのスペースがあって、そこにお金を払って停める。バイク人口がさほど多くないオーストラリアでさえ、行政はちゃんと駐車場を作ってます。その代わり厳しいですよ。駐車場に停めなかったらもう一瞬で罰金です。5分も停めておけません。でも非常にロジカルでしょ。そういう場所があるんだから、それを使いなさいよってことですから。
日本にはそういう制度すらありません。「ここはいいけど、ここはダメ」っていう基準が何もない。そういう部分を見ると、まだまだバイクに関しては発展途上国だなって思うんです。世界に名だたるバイクメーカーがひしめく国が、なんでこんなに遅れているんだろうって。

一生懸命な人からもらうエネルギー

── カメラマンは何歳まで続けますか?

20代の頃の撮影手法を40代の僕にやれと言っても、体力的にそれはできませんよ。でも、まったく負けるかって言うと、そうでもありません。20年間のキャリアが、その差を補うだけの経験がある。若い頃走り回って撮った映像を、今の僕なら走らずに撮ることができるんじゃないかな。70代になったらもっと走れなくなるでしょうけど、なったらなったでやり方はあると思いますよ。そういう意味では「もういいや」って思ったときが終わりなんでしょうね。「こんな仕事辛いし」とか「楽しくないな」って思ったら、もうダメでしょう。だから年齢は関係ないんじゃないかと思います。まだ「やれる」と思えているうちは、ずっと続けていきたいですね。

── お子様をバイクに乗せる気はありますか?

僕を見ているのでバイクが大好きなんですよ。今日も保育園行くのに「乗りたい乗りたい!」って言うんで、後ろに乗っけて送って行った。だから「乗りたい」って言うんだったら乗せてあげたいし、レースをやりたいならやらせてあげたい。それを止める気はありません。バイクのおもしろさを伝えようとは思いますけど、強制はしませんね。でもバイクを知っていれば、人生がより豊かになるでしょ、大袈裟ですけど(笑)。だからバイクがある環境で育つ方が、幸せなのかなって思います。

たくさんのプレスパスがこれまでの仕事の証。これからもドンドン増えていくことでしょう。

── カメラマンという仕事を一言で言うと?

この仕事を始めた頃は、驚くことばかりで「毎日がジェットコースター!」だと思っていました。美しいだけでなく非常に厳しい大自然の姿に驚き、その大自然にバイクやクルマで敢然と立ち向かう人の意志の力に魅せられ、仕事を通して自分の考え方や人生観が変わっていった。想像していたのとはまったく違う世界だったからこそおもしろくて、やめられなくなってしまったんです。いつの間にか、バイクもカメラも人生の一部になってしまっていますね。

それと、バイクにせよ人にせよ、撮影する対象っていうのは常に変化し続けるじゃないですか。同じ人間を毎日撮るにしても、昨日と同じ環境で撮るわけじゃない。だから常に違ったものを撮影できるという楽しみもありますね。
たとえば10年振りに再会した人を撮影するとき、その人の10年間の変化が自分の人生と重なることがあるんです。本人が何を言わなくても、ファインダーを覗いてるだけで共感できたり、発見できたりすることがある。それはカメラマンならではの感覚だと思うし、そこがまたおもしろいんです。そういうことがあるからこそやめられない。だからまた出かけていっちゃうんですよね、きっと。

── 取材を終えて数日後、大野さんからメールが届きました。「僕は今パリのモーターショーに来ています」。片時も休むことなく、世界を股にかけてモータースポーツの世界を撮り続ける大野さんの熱意は、撮影された映像を見る我々にも必ず届くことでしょう。これからもご活躍を期待しています。

(2006年9月25日(月) 於:東京都中央区 rpm films)

大野晴嗣 プロフィール

大野晴嗣
大野晴嗣(おおの・はるつぐ)
モータースポーツカメラマン
代表作
NHK『ダカールラリー'97 ~極限を駆け抜けた16日間~』
Honda『CBR1000RR』CM&プロモーションビデオ
1964年兵庫県神戸市生まれ。
1986年大阪芸術大学映像計画学科卒業。
1987年東京の映像制作会社へ入社。
1997年NHKスペシャルのカメラマンとしてダカールラリーを撮影。
2001年独立して「rpm films」を設立。国内外のモータースポーツを中心に、オートバイメーカーのCMやプロモーション映像など幅広く撮影。現在はプロデュースも手がける。

大野晴嗣さんへ「10の質問」

1 現在の愛車は? ホンダSILVER WING 600、ホンダXR400R
2 最初に乗ったバイクは? ヤマハRZ125
3 今後乗ってみたいバイクは? ホンダRC211V、ホンダNXR750(1986年パリダカールラリー優勝車)
4 愛用の小物は? 撮影で必ず携帯するガーバー社のマルチプライヤー。どこへ行くにも持って行きます。半分はお守りですね。
5 バイクに乗って行きたいところは? 砂漠。360度何もないところがいい。
6 あなたにとってバイクとは? 水や空気のように、なくてはならないもの。なくなると死んでしまう!
7 安全のための心得はありますか? 危険予測と街中の通行人・車を信じないこと。予想がつかないことが事故になるので、街中にいる人たちは「みんな宇宙人」くらいの気持ちで走ったほうがいいです。それと自分の限界を知ること。
8 バイクに関する困り事は? 駐車場問題と盗難です。あと、欲しいバイクが次々出てきて困ります(笑)。
9 憧れのライダーは? 80年代後半に活躍したGPライダーのクリスチャン・サロン選手ですね。とてもきれいなリーンウィズでコーナーを駆け抜ける姿は、撮影したときも惚れ惚れしてました。
10 バイクの神様に会ったら何と言う? これからも、私たちをドキドキ・ワクワクさせてください。
著名人インタビュー
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